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昔の港町の名残を探しながら歩いて、浜之町まで出ると、色鮮やかな布がたくさん吊るされたお店を発見した。文政5年創業のこの歴史あるお店は、旗、幕、のぼり、半纏などを染める老舗の染め物やさんで、職人さんが丁寧に全ての工程を手作業で行っている貴重なお店だ。
本来紺屋さんは仕入れ、無地染め、型付け、半纏、のぼりなど、様々に分業して作業をするが、何でも細工ができて、その土地に根付いた紺屋さんを「地細工紺屋」さんと呼び、若松旗店さんも地細工紺屋さんとして180年間この地で染め物を行っているそうだ。

職人さんが手作業で行う染め物は、昔ながらの自然の染料が使われ、こだわりを持って作られる作品には一点たりとも同じものは存在しない。
古くから海運業の町だったため、大漁旗やのぼりといったものが多かったが、最近では新造船のレセプション等で船主に贈られる贈り物として、手染め半纏が世界で人気を博しているそうだ。
注文は全て一点一点個別に入ってくるそうだが、その注文主もどうやらそうそうたる面々のようで、驚かされてしまった。ご主人と奥様はとても気さくな方で、質問をすれば親切丁寧に答えてくださるので、ここぞとばかり質問攻めにし、貴重な作業場所や作業工程、建物などについても教えてもらった。その中にちょっと興味深い話がある。


■若本旗店


■仕掛かり中の作品


■作業小道具

八幡浜は宇和島と同じ伊達藩に属していて、質素倹約を旨とする藩政を行っていたので、人々もあまり大きな建物を建てたり、贅沢品を身につけることができなかったという。しかし、お膝元の宇和島と比べ、八幡浜は離れているのでどうしても目が行き届かず、人々はわりと贅沢な暮らしをしていたそうだ。若松旗店さんにもその痕跡があるので見せていただいたが、高価な障子紙、大きな塗りの和箪笥、通常より遥かに太い梁など、興味深いものがたくさんある。また、九州、四国から京都・大阪へ修行に行く職人さんが必ずといっていいほど八幡浜を通り、その度に新しい文化を持ち込んできて、また新しい文化を生み出していったそうだ。
180年の歴史の集大成ともいえる作品をぜひ見て欲しい。


昔懐かしい年代物のミシンが置かれている。建物自体も130年くらい前に建てられたものが今でも大切に現役で使われている。
 






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